◯腐ったような車内の臭いはカビの可能性アリ

車内のさまざまな臭いはドライバーや乗用車にストレスを与える要因の一つですが、もし車内に腐ったような嫌な臭いがしていたらカビが原因の臭いかもしれません。
車内の臭いにはタバコ臭や灯油の臭いなど独特なものが多いですが、カビの臭いもその一つで頭痛の原因や吐き気の原因になるものです。
車内に気になるほどカビ臭がしている場合は車の何処かに大量にカビが発生している証拠ですが、カビの発生には必ず原因がありそれによって発生場所が変わってきます。
カビ臭さは臭いだけでなく健康被害にも繋がつ可能性があり、この記事では気になるカビの臭いを消臭する方法や、カビを除去するクリーニング方法などをご紹介します。
◯車内にカビが発生する原因
カビは菌類の一種なのでその発生には適度な水分と養分が必要不可欠ですが、通常車内は乾燥していたり養分となるような有機物はかなり少ないはずです。
しかし次のような状態ではカビの生育条件が整うため、カビの発生が促されます。
・車内に充満する湿気
・サンルーフなどからの雨漏り
・シートに染み込んだ汗や皮脂
・車内にこぼした食品や飲料の残り
特にカビが発生しやすいのは車内の空気を循環しているエアコンのフィルターやダクト部分で、車内に充満した湿気や有機物がエアコン内に入ってカビの原因になります。
そして発生したカビの臭いがエアコンの送風によって車内に導入され、車内全体がカビ臭くなるのです。
その他にもシートの内側や表皮、カーペットや車内の天井など比較的吸水性の高い箇所にはカビの発生が起こりやすいです。
一度カビが発生する条件が整うと時間と共に繁殖して車内に広がっていくため、カビ臭も次第に強くなります。
加えてカビの問題は臭いだけではなく、乗員への健康被害にも繋がるので注意が必要です。
◯健康被害を防ぐためにもカビ対策を
カビは繁殖に適した環境があれば胞子を放出して一気に広がりますが、その被害は臭いだけでなく人体に直接影響を及ぼす毒素も放出します。
カビ毒はカビが代謝の際に産生する副産物ですが、人体に対しては肝臓や腎臓、消化管などへの被害を及ぼすものであり、カビの繁殖した車内では健康被害が出る可能性が高くなります。
特にエアコン内に繁殖したカビは空調と共に車内に撒き散らされますので問題が大きく、直接口や鼻から体内に入っていきます。
またカビの繁殖したシートに座ると体に直接付着しますし、座った時の衝撃でも空気中に放出されます。
もし車内のカビ臭が気になるレベルになっていたらカビ毒の危険に晒されている可能性が高いので、早急に対策しなくてはなりません。
◯カビの抗菌、消臭対策

まずカビの発生を抑制するためには車内の湿気を減らすことが第一なので、エアコンを積極的に使って湿気がこもらないようにし、場合によっては除湿剤も併用します。
それでもカビの臭いが車内に漂っている場合、早急な対策としては抗菌や消臭機能のあるスプレーが便利です。
カビの臭いを徹底的に消すためにはカビ自体を除去しなければなりませんが、カビの除去にはかなり手間がかかるためすぐには出来ません。
そこで市販されているカビの抗菌効果、消臭効果を持つスプレーをシートやカーペット、天井などカビが生えやすい箇所に噴射すれば、一時的ではありますが対策になります。
抗菌効果はせいぜいで一時的にカビの繁殖を抑制する程度ですが、とにかく即座に対策できる点がメリットとなります。
また消臭効果はスプレーでも十分得られますので、車に乗り込んだときにカビの臭いがしたら手軽にシュッシュすると良いでしょう。
また抗菌、消臭効果のある対策は継続的に行うほど効果が高く、据え置き式の抗菌、消臭剤を設置するのも便利。
設置式であれば薬剤がある程度エアコン内部にも循環するため、スプレーでは手の届かない箇所に効果のある製品もあります。
スプレーも設置式も完全な対策にはなりませんが、短時間で準備できて費用も少ないのでまずはここから始めましょう。
◯カビのクリーニング方法
カビを徹底的に除去するためにはシートやカーペットなどカビが付着した部位のクリーニングが必要で、ある程度は簡単に手の入る用具で対処できます。
家庭でカビの除去をする際に多く使われるのが塩素系漂白剤やカビ取りスプレーですが、これらは革や布、金属などに悪影響を与えるため車に使うのは控えたほうが懸命です。
その代わりに利用できるのがエタノールで、水分を含んだ消毒用エタノールより無水エタノールのほうがカビ対策としては良好です。
無水エタノールはカビに対してある程度の殺菌効果を発揮し、また消臭効果も期待できるため自宅で行うクリーニングとしては良いでしょう。
ただし本革シートに対してはエタノールなどのアルコールは使用厳禁なため、エタノールでの対策は本革シート以外の箇所に行いましょう。
そのほかカビ対策のクリーニングには次の道具類を用意します。
・無水エタノール
・雑巾
・乾いた拭き取り布
・手袋やマスク、保護メガネなどの保護具
【クリーニングの手順】
自宅でのカビ清掃ではなにより作業者に対する保護が重要で、クリーニングの最中にカビに直接触れたり吸入してしまうと健康被害を引き起こすので注意です。
またクリーニングの最中にはカビや胞子が車内に留まらないよう、窓やドアをあけて空気の通りを良くして作業しましょう。
①無水エタノールをを用意し、使いやすいように市販のスプレー容器に入れておく
②手袋、マスク、保護メガネを装着し、汚れても良い服に着替える
③カビが生えていそうなカーペット、シート、天井のクロスを重点的に、無水エタノールを直接スプレーしたり雑巾に染み込ませた無水エタノールを押し付けるようにして浸透させる
無水エタノールは揮発性が高いためシートなどは奥にしっかり浸透させると良い
④トランクルームやラゲッジルームに濡れたものを置いたことがある場合は、これらの箇所にも無水エタノールを浸透させる
⑤無水エタノールは揮発性が高いので早く乾燥するが、あまりにも多く浸透している時は拭き取り布を押し当てて吸収させる
⑤浸透させた箇所を完全乾燥させる
⑥使用した保護用具や雑巾、布などを密閉できる袋に入れて捨てる
このクリーニングを行うことで表面に生えたカビはある程度除去できますが、乾燥後にカビ臭が消えない場合はもっと奥に残留していますので別の対策が必要です。
【酸素系漂白剤の使用には要注意】
カビの殺菌に効果の高い漂白剤には塩素系の他に酸素系があり、塩素系よりは安全で素材に対する影響も少ないものです。
無水エタノールでカビが完全に除去できない箇所に使用すると効果的ですが、いくつか注意点もあります。
酸素系漂白剤はカビの細胞壁を破壊して殺菌する効果があり浸透性も高いため、シートの奥に残ったカビにも効きます。
ただし酸素系漂白剤はあくまで漂白剤なのでシートの色落ちが起こる可能性があり、適度に水で薄めて使ったとしても注意が必要です。
シート表皮の素材で色落ちの度合いが変わるので、一度目立たない箇所に付けて試してみると良いでしょう。
酸素系漂白剤の使用時にも保護器具をしっかり装着し、浸透させた箇所は完全乾燥させましょう。
【本革シートには強い薬品はダメ】

本革シートのカビ取りは個人ではかなり難しい部類で、革の色落ちや表面のヒビ割れのリスクがあります。
本革シートは高級感があって人気の素材ですが、アルコールや漂白剤を使用するとすぐに色落ちして変色してしまいます。
また本革表面の油分が奪われることで革の損傷やヒビ割れが発生し、一般的なファブリック製のシートよりも扱いが難しいです。
それでも発生条件が整えば本革シートの表面や内側にカビが生えますが、個人のクリーニングでカビを除去できるのはせいぜい表面部分のみです。
本革のクリーニングには専用のクリーナーやクリームを使用しますが、これは柔らかい布に塗ってシート表面を優しく撫でるように汚れを除去するものです。
本革表面に生えたカビはある程度取り除けるものの、内側に生えたカビには全く効果がなく、時間が経てばまた増殖したカビが表面に出てくるでしょう。
エタノールや漂白剤のように浸透させてカビを除去できないため、本革シートのカビ対策は基本的にプロにおまかせする他ありません。
◯エアコンも重点的な清掃箇所
車内のカビ対策で重要なポイントであるエアコンですが、カビが発生する箇所は奥まったところにあるので一般的な清掃では対処できません。
エアコンにおいてカビの発生しやすい箇所は、エバポレーターという冷却装置とフィルター部分です。
どちらも車内の湿気や汚れが付着しやすくカビの生育条件が整いやすいのですが、エアコンの主要部品はダッシュボードの内側に収められているため分解しないと手が出せません。
そこで家庭でも多少の効果を見込めるのがエアコンクリーナーで、スプレー式のクリーナーをエアコンの吹き出し口から送り込むことで内部の抗菌や消臭ができます。
しかしエアコンクリーナーでは完全にカビを除去することはできませんので、時間が経てばまたカビが増殖して臭いが出てくる可能性が高いです。
エアコンの清掃には分解清掃も可能なプロの技術を借りるのが一番で、徹底的に清掃しなければカビ臭からは逃れられないでしょう。
◯プロのクリーニングサービスは必要か?
車内に発生したカビ臭には必ずどこかに原因があり、シートやカーペット、天井のクロスなど柔らかい布部分の内側などに潜んでおり、エアコン内部も怪しいポイントです。
カビ臭の除去はタバコ臭などより対処の難しいものであり、臭いを減らすためにはカビ自体の殺菌が必要ですが、個人レベルのクリーニングではなかなか奥に潜んだカビまで薬剤を浸透させることができません。
特にエアコンのクリーニングは難易度が高く、車内の部品取り外しやエアコン本体の分解まで行わないと完全なカビの除去には至らないでしょう。
カビの対処にはやはりプロのクリーニングサービスにお願いすることが効果的で、シートやカーペットの取り外し、専用薬剤での効果的な洗浄、エアコン分解など個人では行えない清掃をしっかり行ってくれます。
清掃が難しい本革シートもシート表皮を取り外して内部を洗浄してくれますので、安心しておまかせできます。
何よりカビは運転する本人や同乗する家族に健康被害を及ぼす原因になるので、多少費用はかかってもプロの徹底的なクリーニングにおまかせすることをおすすめします。